いつもお世話になっております。孫平です。
今回は、アメリカの心理学者バートラム・フォア(1914〜2000年)が明らかにした、バーナム効果という心理現象についてみていきたいと思います。
バーナム効果とは?
バーナム効果とは簡単に言うと、誰にでも当てはまるような性格の情報を、自分だけに当てはまることだと思ってしまう心理現象のことです。
この現象を明らかにしたフォアの名前にちなんで、別名フォアラー効果ともいいます。
また、バーナムというのは、興行師P・T・バーナムの宣伝文句「どんな人でも楽しめる」にちなんで、心理学者ミールが命名したものです。
このバーナム効果の顕著な例としては、血液型占いがあるでしょう。
今のところ、血液型と性格に関連があるという科学的根拠はありません。
にもかかわらず私たちは、それぞれの血液型の特徴(と言われているもの)を、自分に当てはまる特徴として信じてしまっているのではないでしょうか。
A型は几帳面とか、B型は自己中とか、O型は大雑把とか、AB型は天才肌とかよく言われますよね。
でも、ズボラなA型もいれば協調性のあるB型もたくさんいるし、几帳面なO型もいれば平凡なAB型もたくさんいるでしょう。
つまり、どの血液型の人にも当てはまる特徴なのに、「〇〇型はこういう性格!」と言われると、私たちは「確かに当たってる!」とか、万が一あまり当たっていなくても「もしかしたら私ってそういう人間なのかも」というふうに思ってしまうのです。
この程度で済んでいればまだかわいいものですが、このバーナム効果に確証バイアスがくっついてくると、状況は少し厄介になってきます。
確証バイアスとは?
確証バイアスとは、自分にとって都合の良い情報を過大評価して、都合が悪い情報は過小評価するという、私たちが無意識のうちにもってしまう非常に強い思い込みのことです。
先ほどの血液型の例でいえば、「A型は几帳面だ」という情報に触れたA型の人が、本当はサボリ癖があり意識して事前準備をしないといけないタイプなのに、「俺はA型で几帳面だから大丈夫だ」と、バーナム効果と確証バイアスのコンボの影響で事前準備を怠ったとしたら、当然ながら人生はハードモードになってしまうでしょう。
実生活に活かす
自分自身がバーナム効果と確証バイアスに陥らないためには、常に今の自分を正確に把握することが重要になってきます。
自分自身を正確に把握できていれば、適切な判断や行動がとれる可能性は高くなります。
しかし、約70%の人は「自分は平均よりも優れている」と思っているといいます。(ダニング・クルーガー効果)
そのため等身大の自分自身を把握するのは非常に難しいことですが、ことあるごとに以下のような問いかけを自分自身にしてみるのが良いでしょう。
「この情報は誰にでも当てはまるものではないのか?」
「自分にとって不利な情報にも目を向けてみよう」
「自分はこの情報を過大評価していないか?」
このように、とにかく自分にとって気持ちの良い情報に触れたときは、少し立ち止まって疑いの目をもつように心がけてみて下さい。
もう一つ、この2つの心理現象を他者に使えると、自分の思い通りに相手を動かせる可能性が高くなります。
あくまでも例え話ですが、「みずがめ座の人の今月のラッキーカラーはネイビー!」で、みずがめ座の人に対してバーナム効果を発動。
バーナム効果が発動しているみずがめ座の人に、さらに確証バイアスで追い打ちをかけるマーケティングを行う。
例えば、「今月限定で、ネイビーのシャツが〇〇%OFF!」、「1月〜2月生まれの方限定で〇〇%OFF!」、「この広告を見た方限定で、ネイビーのシャツが〇〇%OFF!」などで、自分に都合の良い情報を過大評価させる。(そのシャツが古い型番だとか、在庫処分だとか、そもそも自分にとってシャツがいるのかなどという冷静な思考ができなくなり、マイナス要因に目が向きにくくなる。)
結果として、このタイミングでこのシャツに出会ったのは運命だ!、みたいな思考になり、まんまと服を買わされる。
少々面倒ですが、使える場面は考えればいくらでもありそうですね。
ポイントは、バーナム効果と確証バイアスを使って、相手に深く考え込ませることなく決断させる、ということです。
相手よりも優位に立つために、そしてなにより自分自身を守るためにも、バーナム効果と確証バイアスは是非とも覚えておきたい知識ですね。
【参考文献】
齊藤勇 監修、田中正人 編著、『図解 心理学用語大全』2020年(誠文堂新光社)
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