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「心理学用語大全 敵意帰属バイアス」

更新日:2022年2月6日




 いつもお世話になっております。孫平です。



 不定期で解説している心理学用語大全ですが、今回は「敵意帰属バイアス」についてです。




 それではさっそく参りましょう。









敵意帰属バイアスとは?


 敵意帰属バイアスとは、相手にされた行為を、敵意や悪意から生じたものと捉えてしまうことです。



 例えば、誰かとぶつかってしまったときに、「あいつはわざとぶつかってきたんだ」とか「自分に嫌がらせをしようとしているに違いない」などと思ってしまうことです。



 敵意帰属バイアスが弱い人がもし同じような状況に遭遇したら、「よそ見していた自分のせいでもあるな」とか「たまたまぶつかってしまっただけだろう」と解釈するでしょう。





 このような敵意帰属バイアスに陥りやすい代表的な状況として、



・誰かに注意されたとき


・運転中に追い越しや車線変更されたとき


・相手にじっと見られたとき



などがあげられます。




 このような状況に遭遇したときに、ついイラッとしてしまう人は、敵意帰属バイアスが強い可能性があります。








敵意帰属バイアスが強い人は攻撃的⁉︎


 心理学者のA・ドッジらは、殺人・暴行・強盗などの犯罪で逮捕された青年を対象に、一般的に考えて敵意がないとされる行為に対し、彼らがどれだけ敵意を出すかを調査しました。



 その結果、敵意帰属バイアスが強い青年ほど、犯罪件数も多いことが分かりました。




 これはおそらく青年に限った話ではなく、どんな人でも、敵意帰属バイアスが強いと攻撃的になってしまうと考えられます。




 また、敵意帰属バイアスが常に強い人もいれば、普段はそうでもないけど、ある特定の物事に対してだけこのバイアスが強くなったり、そのときの体調によってもバイアスの強弱は誰でも変わってくると思います。




 では、自分がもしこのバイアスに陥ってしまった場合はどうすればよいのでしょうか?








敵意帰属バイアスに陥ったときにするべきこと


 答えになっていないように聞こえるかもしれませんが、「敵意帰属バイアスに陥ってしまっている」と認識できている時点で、90%はこのバイアスから脱却できています。



 敵意帰属バイアスに陥り攻撃的な行動に出てしまう人は、「自分がイライラしている原因は相手にある」と思い込んでいます。


 それは、このバイアスを知らないということが非常に大きく影響しています。




 バイアスというのは人間の本能としてあらわれるものなので、バイアスそのものを抑えることはまず不可能です。



 しかし、「敵意帰属バイアスという人間の思い込みがあることを知っている」状態なら、万が一このバイアスに陥ってしまったとしても、「今自分は相手の行動に対してイラッとしたけど、これは敵意帰属バイアスのせいかもしれないな」というふうに、自分の感情を客観的に見られるのです。



 こうなれば、最初はイラッとしてしまっても、その感情にとらわれている時間を限りなく短くでき、攻撃的な行動をとる可能性もぐんと低くなるでしょう。





 

 まとめると、




①まずは「敵意帰属バイアス」を知っている状態が大切。(これは、他のどのバイアスについても同じことが言える)




②バイアスを避けることはできない。(つまり、大なり小なり最初はイラッとしてしまう)




③もし敵意帰属バイアスに陥ってしまったら、そんな自分を意識して客観的に見る。

例:「自分は今、敵意帰属バイアスに陥っているなぁ」みたいな感じ。





 たったこれだけで、バイアスによる被害を最小限に抑えることができます。


 

 もしイラッとしたら、このバイアスに陥っていないかどうか、一回だけでもいいので「イライラしている自分を客観的に見る」ようにして下さい。





 それではまたお会いしましょう。






【参考文献】

亀田達也『図解 眠れなくなるほど面白い 社会心理学』2019年(日本文芸社)




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